このピアノは、現在欠落しているものの燭台付きであること、そして脚に彫刻があることを除けば、一見現代のピアノと変わりなく見えます。しかしながら、弾いてみますと、まさしく120余年の歴史を物語る響きが残っていて、修復するにあたっての心構えに一層の緊張を感じました。

 
  外装、アクション、鍵盤と解体を進めるにつれて、次々と歴史の痕跡が現れます。

摩耗したフェルト、鹿皮、劣化したスプリング、ネジ、弦等の金属類、鍵盤下のフェルト状に積もった埃の中からは、剥がれた鍵盤の象牙4枚、紛失していると思っていたアクショ ンボルト3個が出てきました。

 

 

製造時に、かいもの(交いもの)として使われている厚紙がこのピアノが製造されたボルティモア市の酒屋の名刺だったりして、当時の職人の有様まで忍ばれます。


  ピアノを作業台に乗せ、彫刻のある脚を外し、棚板、底板、妻土台と注意深く解体していきます。

 

 




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