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支部秋期研修「音を観る」が行われました   2011年02月07日(月)20時55分

2010年10月28日、鳴門市ドイツ館にて、四国支部秋期研修が行われました。講師は、関西支部
高田努氏。題目は“音を観る” 
音を観るとは一体何ぞや??誰一人よく分かってないけれど、講師の“打弦された弦の振動を肉眼で見る(観る)ことができる機械を作製しました。”という説明に、興味シンシン。何でも、高速ストロボをあて、機械のツマミを調節すると見えるらしい。期待に胸ふくらませ、実験スタートです。

最初は、一本弦を張ったバー(棒)で。高田氏いわく“弦は回転しながら振動している。”弦を弾いてみた。なるほど、確かに回転しているようだ。
次は、北村会員が持ち込んだチェロで試してみる。さっきよりはっきりと分かる。その何とも不思議な動きに、“おぉー”の歓声があがった。 じゃあ、音叉も見てみよう。今度は振動がU字の中をうねうね移動している。皆、夢中になって観察した。
こりゃ面白い!と会場の空気が盛り上がったところで、いよいよピアノを使った実験です。
使用するピアノは、スタインウェイB型。大屋根を外し、ピアノ保護の目的でケース周りをカバーリング。マスクに手袋の完全装備にて、いざ、実験!
打弦するKeyを決め、フォルテでたたく。ストロボを当て、速度を調整した。・・・・・あっっ!見える!!
打弦点から駒へと、まるで波のように移動して行くのが見える。波は行って帰ってを繰り返しながら減衰し、やがて平坦になった。 シフトペダルを踏んだらどうか?すると、驚いたことに、打弦された2本の振動波形が崩れて来た頃、打弦されてない左端の弦が、大きくうねり出したのである。つまり、ペダルで外されたはずの左の一本にも、実は役割があったというわけだ。
  この後、シフトペダルを踏んだ時の方が普通に弾いたときより音が伸びる理由についての講義等を楽しんで、最後、ストロボを当て振動を見ながらユニゾンを合わせてみる、という試みに、全員がチャレンジをした。なぜか、皆それぞれにユニゾン(2弦)の同調が違う。真線は見易いが、巻線になるとブレが大きくて見づらい。目だけで合わせてやろうとしたら、往復するうねりに翻弄され、さっぱり分からなくなってしまった。やはり、調律師たるもの、耳を使わねばならぬと反省。
 
そんなこんなで時は過ぎ、あっという間に終了となりました。
皆、見たこともないものを見れた満足感でいっぱいだったのではないでしょうか。
高田さん、楽しい研修をありがとうございました!

<参加者の感想が届きましたのでご紹介します>
*大変参考になりました。ありがとう。(K .I)
*今まで受けたことない内容で、参加させて頂き良かったです。
NHKでやっているような実験が、目の前で見れました。(S.O)
*装置の自作に驚きでした。弦振動が手に取るように確認でき、非常に興味深い体験でした。調律時にこれをイメージすることで、音の聴き方や、整調、整音にも、違った感覚でよい方向に行ければいいと思います。(T.H)
*普段は見えない弦振動が、光を当てることではっきりと見えた。波長による振動の違いや、ユニゾンのズレまで肉眼で分かるのには驚きでした。(F.K)
*ピアノをよく鳴らすこと、太い音を作ること、これまで耳と手の感覚で追求してきた事を視覚的に見て考えることができる、興味深い研修でした。講師の高田さんの熱意あふれる講義、大変楽しかったです。(H.S)
*四国支部の研修って何か自由な感じがしました。ドイツ館という会場も、面白くて良かったと思います。(N.I)
*弦振動の様子をじっくり観察できたという驚きが強い。
これを実務にどう生かせるか、これから模索して行きたいと思う。(S.K)

                        記: 高橋弘憲、松岡美紀

■講義する高田講師
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■ピアノカバーをホールに贈呈する高田講師
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■熱心にピアノを取り囲む四国支部会員
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