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南吉ピアノ   2020年11月18日(水)

「JAZZ KISSA BASIE」という、岩手県一関市にあるジャズ喫茶ベイシーをドキュメントしている映画を先日観たのですが、日本独自の文化とされている、ジャズ喫茶をテーマに映画にするという興味深いもの。その映画の中でインタビューに応じている著名人のひとりに小澤征爾氏が。オーケストラ指揮者として若い頃からアメリカでキャリアを磨き、おりおりジャズからもインパクトを受けたと語ります。自宅と思わしきインタビュー映像シーンの背後に、映画の内容とは関係なく映る古いピアノ。これになんだかとても気になった。たぶん、現在85歳の小澤征爾氏が少年だった頃、音楽的才能を見抜いた父親と長兄が、経済的にも環境的にも入手困難なピアノを、小澤征爾氏のために知り合いから譲り受け、リアカーを使って3日がかりで運んだピアノだったのだと後から知り、思いのこめられたピアノを、大切に今でも自宅に置かれているということなのですね。
そんな、思いを込めて使い続けられているピアノが、日本国内で多くはないですが見受けられます。今月25日に発行される「音の扉」Vol.3では、愛知県安城市アンフォーレという会場にある、ベッカーピアノ(ロシア サンクトベルク1905年製)を、歴史的ピアノ探訪で取り上げています。「ごん狐」などの作者、新美南吉に因んだ南吉ピアノという愛称で呼ばれています。詳しくは、ぜひ記事をチェックしてみて下さい。

伊東基貴 2020.11.18

日本ピアノ調律師協会